大事な決断をする時
皆さまは大事な決断をするとき、どのように問題をアプローチしますか?是否をリストアップしてじっくり考えるタイプですか?それとも理性と感情がごちゃごちゃになってしまう方ですか?そういうとき、頭で考えていることと心が求めているものが区別つかなくなりませんか?
あなただけではありません!大勢の方も同じように、考えすぎてしまったあげく、自分を見失なってしまうことは少なくありません。特に期限が迫っていると、なおさら。そうやって早く答えを出そうと焦って決断してしまうと、後で後悔するような結果になりかねませんよね…。
今回はそういう大事な決断を迫られた方の体験談です。選択理論という心理学を使って、自分の状況をより客観的に見つめ、何をすべきか見出そうとしました。
ケーススタディー:ジョブオファー
まず、簡単なご紹介を(プライバシー保護のために、一部事実を変えてあります):Kさん、30代女性。
Kさんは現在フリーランスです。以前は正社員でしたが、フリーに切り替えたのは、自分のスケジュールと仕事場を決められる自由が欲しかったから。だけどフリーで収入を稼ぎながら、個人事業を立ち上げるための時間を捻出するのもなかなか大変で、フリーであるがゆえに、仕事の成果が認められないのと、自分のキャリアを築いている手ごたえがないことも気になっていました。今のままが良いわけではないけど、この生活をキープするべきかどうか悩むことが時々ありました。
そこで突然、オファーの話が。契約先がKさんのことを気に入り、ぜひ正社員になってくれないかと誘ったのです。当初は喜んで即答しそうになりましたが、いったん時間をおいて考えてみると、他の思いが頭の中を占めるように。将来のために何を切り捨て、何を開拓するべきか…。そんな悩みが頭をもたげ、重大な決断を迫られているプレッシャーを感じ始めました。
時間が経てば経つほど重圧が増し、体が悲鳴をあげるかのようにあちこち痛くなりました。さらに不眠症にもなり、十分に眠れないとよけい頭が朦朧として、冷静に考えられなくなってしまいました。
連絡をいただいた時、すでに長い時間をかけて決断を下そうとしていたKさんは軽いパニックに陥っていました。そんな彼女を助けるために、あるツールを使って混乱をひも解いてみることにしました。必要あれば、ボディコードでフォローすることも念頭に置いて。
自分を振り返ろう
まず、A4くらいの紙を用意して、今直面している問題(「ジョブオファー」)を上に書いてもらいました。その下に大きな四角を書き、それを4等分に分け、それぞれの箱に次の言葉を記入してもらいました。

表の準備ができたら、現在の考え・気持ち・アクション・反応をありのまま書くように言いました。この課題の目的は、今の自分を映しだすこと。過去や未来でなく、現在に自分を引き戻し、より客観的に見つめられるようにするためです。
それぞれの箱の意味を説明しますと、「考え」は今頭の中を駆け巡っている考えのこと。「気持ち」は今感じている感情。「アクション」は今実際に取っている行動や動作のこと。動詞で考えると分かりやすいかもしれません。「毎晩夜遅くまで考え事をする」、「集中できないため、仕事を終わらせられない」など。「体の反応」は、体で起きている反応。例えば、頭痛とか肩こりとか。
Kさんが戻してくれた表にはコメントがびっしり。色んなことを感じていたのが一目瞭然!よく読んでみると、「気持ち」と「アクション」の箱にも考えがちらほら。皆さまも経験あると思いますが、悩んでいる時、考えも気持ちも行動もみんなごちゃごちゃになり、自分が分からなくなるんですよね。
隠されたニーズを知ろう
表から全体的に伝わってきたのは、「無力感」―まさに今のKさんの状態です。Kさんは、外からの情報を自分の価値観や固定観念を通して整理し、現実を彼女なりにとらえていましたが、現実と欲望との間にギャップがありました。
普段気づきませんが、欲望は隠されたニーズ(欲求)と密接に関係しています。そのニーズとは、愛と所属、力、自由、楽しさ、生存/安心です。Kさんの場合、ニーズが十分に満たされていなかったため、欲望が満たされず、不満シグナル(「考え」「感情」「体の反応」)が起きました。そこでシグナルに対処すべく、いくつかの行動(「アクション」)を取りました。だけどKさんがとっていた行動は、やればやるほど、かえって無力感に拍車をかけてしまい、今の状態に至ったわけです。こうして悪循環が続いていました。
自分の状態をこのように説明されて、Kさんは納得しました。彼女いわく、
ニーズを理解した時に、気づきました。[中略]今の状態のままでは、自分のニーズを十分に満たすことができないことと、今の自分がどういう状況にいて何を必要としているのか、よく分かりました。全てがバラ色というわけではありませんが、自分の本質を大切にし、もっと上を目指しながら、状況に対応して順応していくためのモチベーションが断然上がりました。
この気づきをもって、Kさんのモヤモヤがすっきりしたようでした。結局、ボディコードでフォローしませんでしたけど、やらなくても何とかなるのであれば、それで充分だと思います。自分の力で前に進めるようになったわけですから!
的確にクリアリングする
もし、ボディコードでフォローするとしたら、先ほどの表の1つまたは複数の箱にフォーカスしてクリアリングします。
この表は例えるなら、目的地点にたどり着くために、Kさんが現在運転している車です。そして4つの箱がタイヤ。前輪は「考え」と「アクション」、後輪は「気持ち」と「体の反応」。安定した走行をするには、4つのタイヤがバランス良く回らなければなりませんが、時にはタイヤが空回りしたり、動かなくなったりします。そうなると当然、車は行きたい方向に進みませんよね。そこでタイヤのバランスを整え、回転を良くするために、ボディコードを施します。
Kさんの場合、ボディコードをせず、表の課題だけ行いました。その結果はっきりしたのは、今「無力感」という車を運転していることでした。「考え」と「気持ち」が空回りしてコントロール不能、「体の反応」は稼働停止、「アクション」は車の走行を安定させようと頑張っていたけど、他の3つの車輪に負けていました。
でも課題を通して、Kさんは自分の状況を今までと違った目で見つめ始めました。そうしたら「考え」「気持ち」の回転が落ち着き、「体の反応」が回りはじめ、「アクション」がようやくより良い方向へ車を引っ張りはじめました。この新しい車を名付けるとしたら、「モチベーションアップ」でしょうか。
最終的にKさんは、自分の直感を信じて、オファーを受諾しました。仕事に慣れるまで過渡期がありましたが、それを過ぎたら、物事が予想していたよりもはるかにいい方に運んだそうです。自分の隠されたニーズを満たす決断をしたおかげで、仕事を通してニーズを満たすさらに多くの機会を得られて大変満足している、とおっしゃっています。
選択理論による自己分析の体験談、いかがでしたか?似たような状況にいらっしゃる皆さまのご参考になれば幸いです。もしもご質問があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください!
理美